有理数、無理数
有理数の有理数乗は、当然有理数にも無理数にもなり得ます。例えば、は無理数ですがは有理数です。
無理数の有理数乗も、当然有理数にも無理数にもなり得ます。例えば、は無理数ですがは有理数です。
では、有理数や無理数の無理数乗はどうなるのでしょう?
まずは、無理数乗して有理数になる例を考察しましょう。
Q. 有理数を無理数乗して、有理数になることがあるか?
A. ある。
証明 が無理数であることは、すぐに分かる。実際、=q/p(pとqは互いに素な整数)とすれば2q=3pとなり、左辺が偶数であるのに右辺が奇数となり矛盾する。したがって、が例である。(証明終)
Q. 無理数を無理数乗して、有理数になることがあるか?
A. ある。
証明 a=が有理数ならばこれが求める例であり、また無理数ならばさらにルート2乗することにより、b=となる。したがって、aもしくはbが求める例である。(証明終)
注意して欲しいのは、上の証明ではaとbのうちどちらが実際に有理数かは分からないことです。少々トリッキーですね。
次に、無理数乗して無理数になる例を考察しましょう。
Q. ある数を無理数乗して、無理数になることがあるか?
A. ある。
証明 前と同様に、が無理数ならばこれが求める例であり、また有理数ならばとなる。(証明終)
ただし、これでは有理数の無理数乗or無理数の無理数乗のいずれかが少なくとも無理数になることを言っているに過ぎません。実は、もう少し精密な議論も出来ます。
Q1. 無理数の無理数乗で無理数になるものはあるか?
A. ある。
証明 a=, b=とおけば、aかbのいずれかは無理数になる。実際、a×b=であるので、aもbも有理数と仮定すれば右辺が無理数であることに矛盾する。(証明終)
Q2. 有理数の無理数乗で無理数になるものはあるか?
A. ある。
証明 a=, b=とおいて、上と同様の議論をすれば良い。(証明終)
コメント:ヒルベルトの第7問題「種々の数の無理性と超越性」において提起されている問題らしい。これは、1934年にゲルフォント、シュナイダーが独立に示した結果により解決され、例えばが無理数どころか超越数(すなわち整数係数の方程式の解にはなり得ない)であることが分かるらしい。